東京・赤坂のサウナタイガーで発生した火災事故により、夫婦が死亡しました。非常用警報装置が作動せず、ドアノブが外れるなどの安全管理の不備が指摘されています。警視庁が調査中で、業務上過失致死の可能性も視野に入れています。運営会社は原因究明と再発防止に努めています。
15日昼ごろ、東京・赤坂の個室サウナ店「SAUNATIGER(サウナタイガー)」で夫婦が死亡した火災で、店のオーナーは警視庁の任意聴取に、事務所にある非常用ボタンについて「2年前から今まで受信盤の電源を入れたことがない」という趣旨の話をしていることが18日までに分かった。
- サウナタイガー火災に「なぜ」非常用ボタンオフ、経営者が説明。
- 監修芸能人のジローラモの名前削除に「なぜ」PR支援期間終了。
- 松田政也さん夫婦死亡に「なぜ死因不詳」ほぼ特定も決められず。
これについては、SNS上で、「杜撰な管理」「非常ボタンの受信盤電源切ってた事実が即ち人災なのね。知らなかったでは済まされないのね」などと、サウナタイガーの経営者に批判が殺到。同店は15日は当面の間の営業停止を発表した。
サウナタイガーは芸能人も訪れる会員制高級プライベートサウナで、今年10月29日には、元HKT48のグラビアアイドル、田中美久(24)が自身のX(旧ツイッター)で、元HKT・元AKB48のタレント、指原莉乃(33)とサウナタイガーを訪れた際の写真を投稿している。
サウナタイガーと芸能人の絡みで言うと、イタリア人タレント、パンツェッタ・ジローラモ(63)が「ゼネラルマネージャー(GM)」として監修を務めていたが、17日までに名前や写真がサウナタイガーの公式サイトやインスタグラムから削除された。
サウナタイガーは17日の声明で、ジローラモとの関係について、「オープン当初の2022年9月から2024年2月までの期間、ジローラモ氏よりサウナタイガーのPRのご支援をいただき、その後も掲載が継続していたもの」と伝えた。
15日に火災が起きた背景には、「作動しない非常用ボタン」や、「ドアノブ式のサウナ室の扉」という問題点が浮かび上がってきている。
サウナタイガーに「なぜ非常ボタン動かず」
赤坂のサウナタイガーの店舗では緊急事態などが起きた場合、非常用ボタンを押して事務所に通報する仕組みとなっていたはずが、火災発生時は、受信盤の電源が落ちて作動していなかった。警視庁は安全管理に問題がなかったか、業務上過失致死容疑も視野に捜査している。
サウナタイガー火災に「なぜ夫婦死亡」経緯
警視庁によると、死亡した夫婦は美容室を経営する松田政也さん(36)=川崎市幸区=と妻でネイリストの陽子さん(37)で、16日に現場検証を実施した。17日の司法解剖の結果では、死因は不詳とされたが、焼死や高体温症死などの可能性があるという。
死因については、元刑事や弁護士から、一酸化炭素中毒になり死亡した可能性を指摘する声も上がっている。
今回のサウナタイガーでの火災を時間軸で整理すると、まず松田さん夫婦2人が15日午前11時ごろに来店。
同日正午ごろまでに3階のサウナの個室で火災が発生したとみられ、正午過ぎに火災報知機が鳴り、従業員が消防に通報。松田さん夫婦はサウナ室内の出入口付近に重なるように倒れており、搬送先の病院で死亡が確認された。
サウナ室に出入りする扉のL字型の木製のドアノブが、内側も外側も外れ、床に落ちていたことが判明している。部屋の内外にあった扉の取っ手がいずれも外れ、松田さん夫婦はサウナの入り口付近で倒れていたことから、閉じ込められた可能性がある。
火災のあったサウナ室の中では焦げたタオルが見つかり、何らかの理由でサウナストーンにタオルが触れたことが発火の原因とみられている。サウナ室出入り口の扉のガラス部分には、たたいた形跡も確認された。
日本テレビは17日の報道で、松田さん夫妻が、「サウナストーンをタオルでくるみ、ドアを割ろうとした可能性がある」と報じている。
サウナの背もたれや座る部分も焼けていた。非常ボタンのプラスチック製のカバーは落ちており、火災発生時に押されたとみられるという。
注目されているのは、死因不詳である点と、サウナ室の出入り口の扉がドアノブ式であること。
サウナタイガー死亡火災に「なぜ死因不詳」
死因について、元警視庁捜査一課刑事で、いわゆる「木原事件」の再捜査で取調官を務めた佐藤誠氏は18日、自身のXで、「死因不詳は、原因不明ではない 死亡過程はほぼ特定されている。閉じ込めと非常用設備の不作動という外的な要因は明白で、自然死や自殺、事件性は否定される」とコメント。
「『死因不詳』という言葉の意味は、『なぜ死んだか』は分かるが『何で死んだか』という分類が決められないだけ。複合要因死で単一死因ではないので『死因不詳』ということになり、複合死なら、死因は低酸素+高体温+煙、の可能性が高い」との見解を示した。
佐藤氏は17日のユーチューブ生配信の中でも、刑事時代に似たような事案を担当したことがあることに言及し、「死因っていうのは、『焼死』じゃなければ『一酸化炭素中毒』。これ酸欠だよね。一酸化炭素中毒、火災の現場だと必ずこれでやられちゃうんですよね」と説明。
「無色無臭、充満してても非常に分かりにくい」「約1分から3分で意識が飛ぶ」「約5分吸うと、ほぼ致死に至る」と語った。
一酸化炭素中毒による死亡は、高濃度では数分、低濃度では数時間かかるとされ、労働基準監督署の公式サイトによると、空気中の一酸化炭素(CO)濃度が1.28% (12800ppm)を超えると、1~ 3分間で死亡に至るとされている。
「日本一稼ぐ弁護士」として知られる福永活也氏(45)も17日のユーチューブ動画の中で、「入口のドアノブが外れていたということで。外傷もなくてということだと、一酸化炭素中毒が可能性としてあるのかなという感じはします」と語っている。
そしてサウナ室の出入り口の扉が押せば開くようなタイプではなく、ドアノブ式であることにもX上では驚きの声が上がっている。
Eカップバストの人気グラビアアイドルでユーチューバー、いけちゃん(28)は16日、自身のXで、赤坂のサウナ火災のニュース記事を引用し、「サウナの扉ってどんなんだっけ?と思って動画を振り返ってみたんだけど、確かに回さないと出られないような作りにはなってないかも(サウナの中から)押したら出られる扉が基本なのかな」とコメントした。
いけちゃんは自身のユーチューブ動画で、度々、サウナを満喫する様子を公開している。
サウナの扉は押せば開くようなものが多いとされ、筆者自身も東京・荒川区や台東区の銭湯にあるサウナ室を利用したことがあるが、いずれも扉は押せば開くようなタイプだったと記憶している。
前出の福永弁護士も、17日の動画の中で、「扉に関しても、サウナってね、物理的に押せば開く扉がほとんどで、僕もサウナ人生を通じて多分100以上の施設を見たと思うんですけれども、物理的に中から外に押すやつ以外見たことがなくて」と言及。
「ノブでこう回すやつってのは初めて見ました。そんなの大丈夫なのかと議論されているんですけど、まさにそこが問題で。消防庁のホームページでは、『常時閉鎖式防火扉』、または、図示されている扉にしなければいけないみたいになっています」と解説。
「図示してあるものだと何かアルミの扉になっていて、中が見えるようになっていて、そういうのもOKみたいなので、そっちで許可を取ったのかもしれないですね」と推察した。
今回の赤坂のサウナタイガーでの火災で亡くなった松田さん夫妻には、まだ幼い2歳の子供がおり、政也さんはフォロワー数3.6万人を超える自身のインスタグラムで、2023年6月、「3/28に子供が産まれた」とつづり、妻の陽子さんとみられる女性と子供とお宮参りした画像を投稿していた。
X上では、「再発防止を何よりも願う…..何よりも、これからの子供から両親を奪った結果を重く考えてほしい、ほんとに心苦しい…こんなこと、次があっては絶対にいけない」と再発防止を願う声が上がっている。
サウナタイガー火災に「なぜ」経営者責任も
【発言抜粋】元警視庁捜査一課刑事・佐藤誠氏のユーチューブ動画(2025年12月17日)
【佐藤氏】これは業務上過失致死罪がかなり濃厚な事案だと思います。私も何回かこういう事案をやったことがある、典型的なそんな事案じゃないかなというふうに思う。
死因っていうのは、「焼死」じゃなければ「一酸化炭素中毒」。これ酸欠だよね。一酸化炭素中毒、火災の現場だと必ずこれでやられちゃうんですよね。
- 無色無臭、充満してても非常に分かりにくい。
- 約1分から3分で意識が飛ぶ。
- 約5分吸うと、ほぼ致死に至る。
非常にですね厄介なもんなんですよ。火災は、焼死するっていうのはあんまりない。煙でやられちゃう。
多分この方も軽い火傷をしてるけども、やられたのは一酸化炭素中毒で、おそらく1、2分でもう意識が飛んじゃってると思う。
警視庁、これ「特殊班」がやってると思います。「火災犯」じゃないと思います。おそらくこれは業務上過失致死罪になると思う。
業務上過失致死罪っていうのは「5年以下の懲役・罰金」なんですよ。「執行猶予」もつく可能性がある。非常に軽くない?これ相当苦しんでると思うよ。
警視庁が誰を調べるかというと、いろんな人から話を聞く。
- ここの経営者。
- サウナの持ち主。
- 現場の責任者。
- 点検した人。
俺の予想、警視庁がやるとしたらだいたい2年ぐらいかかっちゃう。いつ頃からこのドアノブが何で…そういうとこまで詳しく調べないと、なかなかね大変な作業になると思う。
一番致命的なのは、この非常ボタンを押して鳴らない。助かる可能性が絶対に奪われてる。
普通の火災と決定的に違うのは、扉が開かない、これが一番でかい。非常ボタン、これが押しても作動しない。非常に欠陥だよね。
こうなると業務上過失致死罪の、これが一番の証拠になるんですよ。火事は一酸化炭素中毒の濃度、これがねすごく重要な死因になるんですよね。
血液の濃度、一酸化炭素中毒の濃度を見れば、だいたいもう閉じ込められたなということで、業務上過失致死の非常に証拠になる。だからこれが一番ポイントかな。
あとはこの非常ベル、いつ頃から、なんで鳴らねえの、誰が毎日点検してんの、点検しなきゃいけないでしょ。
ドアノブは誰が設計したの、その時安全基準はどうなのとかね。非常口は何個あるの、そんなことをね、いろいろ全部捜査するんですよ。
今回のはまだ報道ベースだから何とも言えないけど、多分俺の予想としては一酸化炭素中毒、かなりの濃度が出ると思う。火災による事故じゃなくて、人災の可能性が非常に高い。
【プロフィール】佐藤誠(さとう・まこと)
■基本情報と主な経歴 警視庁捜査一課の元警部補で元刑事、主に凶悪犯の取調官を担当。いわゆる「木原事件」の取調官を担当、退官後に週刊文春で告発。現在はユーチューバー。
- 1983年 青山学院大学法学部を卒業。警視庁入庁。
- 2004年 警視庁刑事部捜査第一課に配属。
- 2022年 退官。
- 2023年 週刊文春で「木原事件」について告発。
- 2024年 ユーチューブアカウント解説
■解決に導いた解決に導いた主な事件
- 2004年 大手広告代理店社員殺害事件。
- 2005年 監禁王子事件。
- 2006年 マブチモーター社長宅放火殺人事件。
- 2010年 海老蔵事件。
【プロフィール】SAUNATIGER(サウナタイガー)
■基本情報と主な沿革 赤坂の会員制高級個室サウナ。料金は月額プランで最大39万円。こだわりのサ飯が全て無料。ワインやウイスキー、こだわりパスタを楽しめる。複数人での利用可能、スマホ持ち込み可能。タレント・ジローラモ監修。
- 2021年7月 運営会社・SAUNA&Co株式会社が設立。
- 2022年8月30日 東京・赤坂にサウナタイガーをオープン。
- 2022年8月~2024年2月 ジローラモがPR支援。
■火災の経緯
- 2025年12月15日午前11時ごろ 松田政也さん・陽子さん夫婦が来店。
- 2025年12月15日正午ごろ 3階のサウナの個室で火災が発生。非常用ボタンの電源が切れて作動せず。
- 2025年12月15日正午過ぎ 火災報知機が鳴り、従業員が消防に通報。松田さん夫婦がサウナ室内の出入口付近で発見。搬送先の病院で死亡が確認。



