
来季前半戦のフル参戦を確実にした川崎春花(Getty Images)
女子ゴルフの来季ツアー出場資格を決定するためのQTファイナルステージで川崎春花(22)が15位に入り、来季前半戦のフル参戦を確実にした。12月5日が最終日となった今回のファイナルQTでは、今季の開幕前に注目された“トリプルボギー不倫”に関係した選手たちの間で、大きく明暗が分かれた。
ファイナルQTには、シード選手で翌年度のシード権が獲得できなかった選手、メルセデスランキング56位から70位の選手、ステップ・アップ・ツアー優勝者、プロテスト1位の選手、ファーストステージからの進出者などが参加するが、ここでの順位が来年度の出場権に大きく影響してくる。ツアー関係者が説明する。
「レギュラーツアーの出場資格の最上位は前年シーズンポイントランキングの50位以内の“シード選手”。2番目は50位に入らなかったものの前年に優勝した吉田優利のような選手、さらに東京オリンピック銀メダリストの稲見萌寧、メジャー優勝者の三ヶ島かなといった複数年シード行使の選手たち。
他にも永久シードやメジャー競技の優勝者、前年度メルセデスランキング51~55位、前年度下部ツアーの賞金ランキング上位2人といったカテゴリーが設けられており、ここまでで60人で枠が埋まる。
これに推薦枠(18~20人)が加わって、4日間競技の120人大会なら残り枠が40人、3日間競技の108人大会なら残り枠が約30人となる。この残りの30~40人の枠が、QTランキング上位から埋まっていく仕組みです」
資格者に欠場者が出ることを想定しても、ファイナルQTで35位前後にランクされないと出場できる試合が限られることになる。
今回のファイナルQTでトップ通過したのは、11月にプロテストに合格したばかりの20歳のルーキー・倉林紅だった。2002年から始まったQT制度では藤田光里以来、2人目の快挙だった。ゴルフ担当記者が言う。
「全出場者は104人で、今季のシード選手でシードを喪失した選手が11人参戦した。そのうち、6位の川岸史果、15位の川崎春花、29位の尾崎彩美悠の3人が30位以内となり、第1回リランキングまでの前半戦にフル参戦を確実にしました。
他の8人は新垣比菜が39位、小林夢果51位、森田遥55位、野澤真央68位、吉本ひかる84位、臼井麗香86位、山内日向子101位、リ・ハナ103位という結果に。シード喪失者の中では39位の新垣比菜までがなんとか試合に出場できる水準です」
注目されたのが開幕直前に“トリプルボギー不倫”を『週刊文春』に報じられてミソをつけ、シード落ちの憂き目にあった川崎春花と小林夢果だった。川崎は当確、小林はかなり厳しい順位となった。
「川崎は2022年のメジャー優勝(日本女子プロ)により3年間の複数年シードを保有していたが、それを行使せずにファイナルQTに参加。そこで上位に入って来季出場権を手にすることをまずは目指すと宣言し、そのプレー内容が注目されていた。
プレッシャーのなか、川崎は初日こそ出遅れたが、3日目に順位を一気に上げ、最終日も2アンダー。トータル7アンダーの15位に入った。試合後、川崎は『初日からめちゃくちゃ緊張した』と振り返りながらも安堵の表情を見せていました。オフに筋力をつけて体重を増やす肉体改造をして疲れがでない体をつくる方針だといいます」
シーズン中は川崎の持ち味であるショット力が復調しないままだったが、「ファイナルQTでは徐々にドライバーも良くなり、強気のゴルフが少し戻ってきた。このプレッシャーのなか上位に食い込めたことに精神的な自信もついたようだ」(前出・ゴルフ担当記者)という。
一方、もうひとりのトリプルボギー不倫の小林夢果は初日、2日目こそよかったが、3日目に4オーバーと大きくスコアを崩して63位タイに後退。最終日は1アンダーにしたが51位タイに終わった。前出・ゴルフ担当記者が続ける。
「今季はトリプルボギー不倫でギャラリーから好奇の目に晒されたこともあるが、小林は夏前から座骨神経痛と手首痛を抱え、ドライバーの飛距離が30ヤード近く落ちるなど苦しんでいた。そうしたなかで言い訳をせずに耐えた精神力は評価されるべきものでしょう。ツアー終盤では自慢の300ヤードショットも戻り、ファイナルQTでは成績を残すと見られていたが、3日目の結果が痛かった。51位タイでは来季の主戦場はステップ・アップ・ツアーになりそうです。
気になるのはトリプルボギー不倫の相手である男性キャディー、栗永遼の妻・浅井咲希がステップ・アップ・ツアーを主戦場にしていることです。顔を合わせるようなことになったり、それがまた重圧にならないか心配されます。QTを突破した川崎は、そうした“茨の道”を危機一髪のところで逃れられたとも言えるでしょう」
※週刊ポスト2025年12月26日号