「完全に信じてます。自分より信じてるというか、今日で人生変わると思ってますから」
11月30日放送の「突然ですが占ってもいいですか?」(フジテレビ系)の冒頭で、かけおち・青木マッチョはこう語った。マッシュルームヘア、無機質な顔、半袖チェックシャツにジーンズ、はち切れんばかりの太い二の腕。異色の筋肉芸人は、肉体よりも占いを信じているようだった。
この日担当したのは、占い師のシウマ氏。名前・生年月日・携帯電話番号の下4桁を足した合計数字によるオリジナル占術「数意学」で青木の性格や運気を鑑定していく。青木の下4桁は「13」。いろんな物事に興味を示し、「面白い」と感じたものにはストイックに取り組む数字らしい。
筋トレ、キャンプ、バイク、楽器演奏など多趣味な青木は、これを聞いて「すごいな、シウマ先生……」と早くも唸る。続いて、「意外とプライドが高い」「目立つのは本来好きじゃないはず」との指摘にもことごとく膝を打つ青木。シャイな性格にもかかわらずお笑いの世界に入ったのは、「同期とかと飲み会とかして(楽しめ)たら嬉しいな」というピュアな気持ちからだった。
そのほか、恋愛事情や性癖までも言い当てたシウマ氏は「(芸人には)あまり向いてはない」としながらも、続けながら「起業するとすっごいうまくいく」と青木にアドバイスを送る。これに「起業ってどうやってすればいいんですかね?」と真っすぐに場違いな質問をぶつける青木が妙におかしかった。
「不良に絡まれたくない」との思いから、中学1年生のときに筋トレを始めた青木。高校卒業後、その体格を生かして消防士になるも上司や先輩から「元気がない」などと怒られ続けて嫌気が差し、24歳で退職。もともとお笑い番組が好きだったこともあり、「そんな自分でも受け入れてくれる」と考えてNSC東京校の門を叩いた。
2021年、鈴木ロン毛、赤木ぼうず(現・赤木細マッチョ)とトリオを結成(2024年10月、鈴木が脱退)。マヂカルラブリー・野田クリスタルが早くから評価し、たびたびバラエティー番組で紹介するもブレークには至らず。昨年4月、ピンで初出演した「ラヴィット!」(TBS系)をきっかけに、青木は一気に注目を浴びた。
2年前、トリオ時代のネタを見たことがあるが、当時の青木は寡黙な怪力役以上の印象がない。あくまでも控え目なボケだった。しかし、その性格こそが令和の時代にハマったのだと思う。「マッチョ×手先が器用」という意外性を持ち、目の前のミッションに懸命に取り組むうえ、押しつけがましさがなければ親しみも湧きやすい。
加えて、軽快な立ち振る舞いが苦手な一面も見えるからこそ、より視聴者は青木を応援したくなるのではないか。
(鈴木旭/お笑い研究家)
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