第13週「サンポ、シマショウカ。」#61
【朝ドラのツボ!】
夜な夜なヘブン(トミー・バストウ)に怪談を語るトキ(髙石あかり)。しかし、ヘブンが怪談を記事にし「日本滞在記」を書き終えてしまえば、日本を去ってしまうかもしれない。トキはヘブンが海外に帰ってしまうのか聞くに聞けない状況が続く。
そんな中、かつて東京で別れた元夫である銀二郎(寛一郎)から、トキに手紙が届く。そこには、銀二郎が松江に帰ってくると書かれていた。銀二郎の目的は?
【こちらもどうぞ】「ばけばけ」錦織(吉沢亮)、今さら何言ってるんだ? おトキ(髙石あかり)の乙女心が揺れる…
【本日のツボ】
司之介の「ん~」「んん~」
※※以下、ネタバレあります※※
おトキの今宵の怪談は「小豆とぎ橋」。ヘブンは熱心に聞き入っていますが、視聴者は最初と終わりしか聞けず、どんな物語なのか気になりました。
一方、おトキが気になっているのは、「日本滞在記」が完成したらヘブンは帰ってしまうのでは、ということ。「あのう。お帰りになられますか? 滞在記が書き上がったら?」とおそるおそる聞いてみるものの、「ナンデ? ア、ニホンゴガ…」とヘブンにはぐらかされてしまいます。
翌朝、おフミ(池脇千鶴)から銀二郎の手紙を受け取ったおトキ。「拝啓…」と読み始めるものの、途中から黙読に。
「おいおい! 声に出して読まんかね」と司之介がいえば、「1日待っちょったんだぞ」と勘右衛門。せっつかれても、「ちょっと待って。もう、もう終わるけん」とあしらうおトキに、「ん~」「んん~」と駄々っ子のように手をバタつかせる司之介。
それを「よしなさい」と制するおフミ。2人のアドリブのようなやりとりにツボってしまいました。
「4月の最初の土曜日に、松江に来ると書いてあった」と聞き、「よりを戻すつもりか?」などと色めき立つ男たちに対し、「とりあえずヘブン先生にお休みをもらわんとね」と冷静なおフミ。さすがです。
ヘブン、嫉妬してるのか?
場面は変わって。「ここが昨日お聞かせした怪談『小豆とぎ橋』の舞台と言われる橋です」「ウタウ ワタル。ワザワイ オキル!」とはしゃぐ2人。
「ウタウ シマショウ」とふざけるヘブンに、「駄目です」と慌てるオトキ。「ジョウダン」とヘブン。どうみてもイチャイチャにしか見えないのですが…。
「まあ夜中だないし、幽霊でないですかね?」「ウタウ シマスカ?」「やってみますか?」「オーケー」。
「〽カ~キ~ツ~バ~」と歌いながら橋を渡る2人。私たち視聴者は、「小豆とぎ橋」の怪談を知らないので、すっかり置いてけぼりです。
「ア~ヤッパリヤメマショ」。怪談好きなのに案外、怖がりのヘブン。木に驚いて、思わずおトキに抱きつきます。そういうところも2人は気が合うのでしょう。
休みを願い出たおトキに、最初は「トキシショウ? ヤスム? オーケー」と言っていたにも関わらず、「チミナニ? チナミニ、ナゼヤスムアリマスカ?」と理由を訊ねます。
「なぜ? ああ、それは、知り合い、松江来る、私、会います」とおトキがいうと、「ナルホド。ホリュウ」と一転、保留にするヘブン。嫉妬なのでしょうか?
と思ったら、イライザ(シャーロット・ケイト・フォックス)からの手紙を読んだあと、「ア~ シショウ イツ ヤスム ホシイ?」「ドーゾ」とあっさり許可します。郵便配達員から手紙を受け取った時の挙動不審なヘブンを訝しく思ったおトキ。
手紙の送り主の名前を控えて、錦織(吉沢亮)に見せます。写真の女性だとわかり、やっぱり、といった様相のおトキ。なぜそこまで? おトキとヘブン、お互いのお互いに対する言葉にできない感情のようなものが伝わる回でした。
それにしても、銀二郎の華麗なる変貌ぶり。銀二郎がどんな4年間を過ごしていたのか、俄然、気になります。
(桧山珠美/TVコラムニスト)