
12月13日、日本最大の暴力団・六代目山口組が静岡県静岡市の二次団体・清水一家で行った「事始め」行事には、昨年とは異なる異様な雰囲気が漂っていた。司忍組長(83)を始め、竹内照明若頭(65)、髙山清司相談役(78)以下、最高幹部や全国の直参組長ら全員が紋付き袴姿で出席。昨年までの礼服・白ネクタイ姿の様相とは大きく様変わりしていたのである。
「『事始め』は、1年の振り返りと来年に向けて親分と組員の結束を再確認するという組にとって最大の行事です。そのため、服装は今回のものが本来の姿といえます。神戸山口組との間で分裂抗争が勃発してからは、非常時ということもあり、1年の労をねぎらう『納会』という名称で行われていました。ですが、4月に抗争終結宣言を出したことで、抗争は終わったという意思を内外に示すため、『事始め』の名称を復活させ、形式も従来のものに戻したと思われます」(ヤクザ業界に精通するジャーナリスト)
「事始め」の名称が復活したのは、実に7年ぶりのことだ。それほど‘25年は六代目山口組にとって“激動”と言える年だったのである。
「分裂抗争」終結の舞台裏
一番のターニングポイントは、やはり4月に分裂抗争終結の宣言をしたことだ。神戸山口組との分裂抗争が勃発したのは‘15年8月。その後膠着状態が続き、10年を迎えようとしていた今年4月に、一方的ながら抗争終結の「誓約書」を兵庫県警に提出したのである。
「誓約書の提出には下準備がありました。六代目山口組と親戚団体にある稲川会の内堀和也会長が、六代目山口組の内諾を得たうえで抗争終結に向けた要望書を作成し、全国の六代目山口組の友好団体を回って同意を得ていたのです。
六代目山口組としては神戸山口組の井上邦雄組長(77)が健在ななかで、抗争を終結させるわけにはいかない。しかし、他団体からの要望があったとなれば“落とし所”を作れますからね。4月には要望書に六代目山口組が同意。友好団体の賛同を得る形で一気に『誓約書』の提出に至っています」(六代目山口組関係者)
「友好団体の賛同を得ている」という下地を作ったうえで、「誓約書」は提出されていたのだ。六代目山口組の用意周到さが生み出したといえるものだったのである。
司組長体制になって今年で20年が経つ。竹内若頭の七代目継承の声が根強くささやかれているなか、来年は、業界はもとより警察当局など各方面からもその動向がより注視されるだろう。
「七代目には竹内若頭が就く可能性が高いですが、問題はそうなった時の次の若頭人事です。順当にいけば現在の弘道会会長ですが、六代目山口組の若頭補佐になって1年もたっておらずまだ早いという声が強い。しばらくは竹内若頭体制がつづくのか……」(前出・ジャーナリスト)
来年は、膠着状態の分裂抗争の行方とともに、これまで以上に執行部人事に注目が集まっていくだろう。
有料版『FRIDAY GOLD』では、「事始め」の写真を多数掲載。六代目山口組が進める「代替わり」についても報じている。








