冷蔵庫に近い席を陣取って…乳児切断で逮捕の風俗店従業員 元同僚が明かした「容疑者の異変」

12月18日、警視庁本所署を出る小原容疑者

「気がつくと赤ちゃんが変色していた」

「自分の産んだ子をそばに置いておきたかった」

東京・錦糸町(墨田区)の派遣型風俗店の待機所で切断された乳児の遺体が見つかった事件。12月18日に死体損壊と死体遺棄容疑で逮捕された小原麗容疑者(22)は、動機についてそう説明しているという。

事件が発覚したのは12月6日の夜9時頃。待機所の冷蔵庫を掃除していた風俗店のスタッフが、上段の冷凍スペースからポリ袋に入った乳児のものとみられる頭部を発見。さらに、プラスチック容器に入った両手足も見つかった。

「遺体はのちに、生後間もない女児のものであることが分かりました。鑑定の結果、小原容疑者と女児の親子関係に矛盾がないことが判明。さらに、遺体が入ったポリ袋に付着していた指紋も容疑者のものと一致し、逮捕に至りました。小原容疑者は、現場となった風俗店で勤務していた」(大手紙社会部記者)

逮捕後、警察の調べに対し。「出産した時に泣きも動きもしなかった。隠さなきゃと思ってバラバラにした」と供述しているという小原容疑者。その犯行の経緯は、衝撃的なものだった。

「供述によると、小原容疑者は今年3月頃、店の待機所内にて一人で出産。『赤ちゃんは泣きも動きもしなかった。その場で気を失ってしまい、気がつくと赤ちゃんが変色していた』と話しています。その後、近くのホテルに移動し、赤ちゃんの身体をカッターナイフで解体。胴体は待機所のゴミ箱に捨て、それ以外の部分を冷凍スペースに保管したと説明しています」(同前)

筆者は今回、かつて小原容疑者と同じ店に勤務し、事件をきっかけに離職したA子さんを取材。A子さんはまず、遺体が遺棄された待機所についてこう明かした。

「待機所があったのは、錦糸町駅から程近い雑居ビルの2階。階段を上がるとすぐドアがあり、24時間、鍵はかかっていませんでした。ドアを開けると、それぞれカーテンで仕切られた座席が左右の壁にそって5席ずつ並んでいます。カーテンを閉めれば中は見えないので、声を殺して出産したのでしょうか……。

防犯カメラが2台ありましたが、店にある金庫を監視するためのもので、それ以外の部分はあまり映ってなかったと思います。部屋の左右に設置された座席の間は通路になっていて、通り抜けた奥に、遺体が発見された白い一人暮らしサイズの冷蔵庫がありました」

遺体が発見された現場には、花が手向けられていた

横行する「本番行為」

出産してから冷蔵庫の中の乳児の遺体が発見されるまで、8ヵ月以上が経過している。これほど長い間遺体が発見されなかったのには、ある事情があるという。

「店の事務所は別の場所にあったのですが、今年11月に入るまで待機所にはスタッフが常駐しておらず、たまに簡単な掃除をしに来るくらいでした。冷蔵庫の中は誰かが放置した飲み物などで常にぎゅうぎゅう詰め。冷凍スペースもアイスや冷凍食品などいろいろと物が詰まっていて、何も入れられないほどだった。

とはいえ、他人のモノを勝手に処分するとトラブルのもとになる。だから私は冷蔵庫を使っていませんでした。使っている人も、自分のモノ以外触らない。だから発見が遅れたのだと思います。まさかあそこに乳児の遺体があったなんて怖すぎます……」(前出・A子さん)

A子さんは小原容疑者の不審な行動に気づいていたという。

「男性スタッフが常駐してなかったので、シフトが入っていない時にもホテル代わりに泊まりに来る女の子がいたのですが、今年の春先から数ヵ月間、一番奥の右側の席がずっと埋まっていたんです。いつ行ってもカーテンが閉じられていた。冷蔵庫にもっとも近い場所です。誰か同じ子が陣取っているんだろうな、と思っていました。

その席から出てきた子を見かけたこともあります。店では女の子同士の会話は禁止されていて、もちろん本名も知りませんが、テレビに映った容疑者の横顔を見て、『あの子だ!』と思い出しました」

A子さんは、風俗情報サイトに掲載されている店の在籍女性の一覧から、容疑者のものだという写真をはっきりと指差した。その源氏名を風俗関連の掲示板で検索したところ、彼女といわゆる「本番行為」を行ったという男性客の投稿が複数ヒットした。各報道によれば、小原容疑者は昨年11月に同店での勤務を開始しており、その頃にはすでに妊娠していたようだが、父親については明らかになっていない。

もちろん、「本番行為」は法律でも店の規約でも禁じられているが、自分の収入を上げるため店に黙って手を染める風俗嬢も少なくない。彼女は密かに「本番行為」によって生計を立てるなか、望まぬ妊娠をしてしまったのだろうか。

遺体を「そばに置いておきたかった」という母性と、胴体をゴミとして捨ててしまう非情さには矛盾も感じられる。しかし、風俗店の待機所で、身に宿した命を育み、出産からその始末までを一人で行うしかなかった彼女の境遇には、社会の無力さも感じずにはいられない。