
JRAの現役最多勝調教師の国枝栄師(撮影:小倉雄一郎)
「いい写真だねえ、モデルがいいからだろうな」──馬房内で愛馬ソルデマジョと対話する写真を前にご満悦なのは、JRAの現役最多勝調教師の国枝栄師。
「やっぱり馬に触れていると、心がなごむんだよ。とくに馬房では馬もリラックスしてるしね」
一般社団法人日本雑誌協会 日本雑誌写真記者会では、2024年夏から2025年秋までの期間中、会員社が発行した雑誌、書籍、ウェブメディアなどに掲載された写真を対象に「第45回日本雑誌写真記者会賞」を選考、「人物・芸能」「ニュース」「スポーツ」などの各部門で計45点が入選した。そのうち「動物」部門で入選したのは、アパパネ、アーモンドアイという2頭の三冠牝馬を育てた国枝栄調教師を美浦トレーニングセンターの厩舎馬房内で撮影した作品だ。
来年3月にJRA調教師を引退する国枝師が、波乱に満ちた48年の競馬人生を振り返りつつ、サラブレッドの魅力を語る「週刊ポスト」連載『人間万事塞翁が競馬』のために、小倉雄一郎カメラマン(小学館)が撮影。調教師という職柄を超えた馬への深い愛情が伝わる作品として高い評価を得た。

国枝栄調教師と愛馬を撮影した作品が、「動物」部門で入選(撮影:小倉雄一郎)
「新聞の写真は勝負のシーンをとらえるのが大事だし、レースを控えたインタビューでは馬券を買う人への呼びかけになる。でも雑誌の場合はなにげない日常をとらえることもあるわけで、こちらもおだやかな気持ちになっているのかもしれないな」
写真展が始まって45年になるが、ホースマンが被写体になった写真が入選するのは初めてだ。
「今年は初めてダートのGIにも挑戦したしね。来年定年を迎えるのに“初”があるというのはいいだろう」
この作品をはじめ、会員および関係団体などの投票により選出された「最優秀賞/NHK党の立花党首 暴漢に襲撃される」「編集委員長賞/光と影の未来体験 愛子さまとめぐる大阪・関西万博」などの受賞作品を展示する【2025年日本雑誌写真記者会写真展】が、《富士フイルムフォトサロン 東京 スペース2》(東京都港区赤坂9‐7‐3 フジフイルムスクエア内)で12月26日(金)まで開催中(10時~19時、入場無料)。今年1年間の事件や世相を写真で振り返ることができるイベントだ。