
最年少・小林が躍動
カナダ・ケロウナで行われたミラノ・コルティナ五輪最終予選が現地時間18日に終了し、女子日本代表(チーム名は『フォルティウス』)が日本としては8大会連続の五輪出場を決めた。
『フォルティウス』のメンバーのうち、近江谷杏菜(36)はバンクーバー大会以来16年ぶり2度目の五輪となり、小野寺佳歩(34)はソチ大会以来12年ぶり、またコーチの船山弓枝(47)は選手として3大会の出場経験がある。吉村紗也香(33)、小谷優奈(27)、小林未奈(23)の3選手は初の五輪だ。
なかでもスキップの吉村は、平昌と北京の両五輪で連続してメダル獲得をした『ロコ・ソラーレ』のメンバーと同級生。国内はもちろん、世界でもトップクラスの実力を保ちながら自身5度目の五輪挑戦で花を咲かせた。
カーリングのオリンピアンはこれまで北海道、岩手、長野出身者に限られていたが、小谷がそこに神奈川県を加えた。
この最終予選で大きな注目を集めたのが、チーム最年少の小林だ。不動のサードである小野寺が大会前に軽いぎっくり腰を発症し、その穴を埋める形で2試合に出場。小野寺に「よろしくたのんますぅ」と送り出された23歳は、
「終始緊張はしていて、すごく喉も渇いていたんですけれど、日本のファンの皆さんも来てくれていて日の丸も見えた。緊張はしましたが、ほどよい緊張感で自分のプレーができた」
と、セカンドとしてショット成功率90%、82%といずれも相手選手に投げ勝った。試合後、「ただの代役ではない」と説明してくれたのは船山コーチだ。
「(小林は)試合数をこなしてなかったんですけれど、いい状態だったので『これはいつでも使えるな』って思いましたし、彼女も『どのポジションでもできるよ』と言ってくれていたので」
と起用理由を述べた後、「誰が出てもいい状態を作りたい」と、五輪、あるいはその先の展望を語ってくれた。
試合終了後、日刊スポーツは「天使が救った!日本代表フォルティウス、緊急出場『みなちゃん』でPO近づく4連勝」という見出しを打った記事を配信。翌朝には一面に掲載するなど小林のブレイクの兆しが見えた。
小林がカーリングをはじめたのは小学校4年生の時。名門・札幌東高校在学時には’20年ユース冬季五輪に出場し銀メダルを獲得するなどジュニア時代から活躍し、’21年に吉村に誘われる形で『フォルティウス』に加入した。どのポジションでもショット、コール、スイープなどを高いレベルでこなすオールマイティだ。
結果的には彼女が2試合に出場することで、小野寺は治療に充てる時間が増え、日本は危なげなく最終予選を勝ち抜くことができた。最終戦を終えた後、
「全力で(チームメイトが)プレーしてくれていたのを見て本当に感動しましたし、ありがとうっていう気持ちで爆発しました」
と歓喜を言葉にした小林だが、チームの目標はあくまで五輪の金メダル。そのためには、チームメイトのお姉さんたちに「うちにはエンジェルがいる」とイジられる愛され妹キャラの躍動は欠かせない。