《大谷翔平に新たな悩みのタネ》水原一平受刑者を題材とした米ドラマ、法的な問題はないのか 弁護士が解説する“日米の違い”

水原一平受刑者の一連の賭博スキャンダルがアメリカでドラマ化(gettyimages /共同通信社)

水原一平受刑者の一連の賭博スキャンダルがアメリカでドラマ化(gettyimages /共同通信社)

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妻・真美子さん(29)との間に待望の第1子が誕生したドジャース・大谷翔平(31)。チームを2年連続のワールドシリーズ優勝に導き、3年連続のリーグMVPを受賞する偉業を成し遂げた。

しかし、新たな悩みの種が降りかかってきたようだ。米メディア『The Hollywood Reporter(THR)』によると、賭博問題で世界中を騒がせた元専属通訳・水原一平受刑者(40)を題材にしたドラマが、映画会社「ライオンズゲート」傘下のケーブルテレビ局「Starz」にて制作されることが正式決定したという。在米ジャーナリストの話。

「ドラマの詳細は不明ですが、水原受刑者を描く以上、大谷選手に触れることは避けられないでしょう。プライベートな露出を好まない大谷夫婦ですから、苦々しく感じているのではないでしょうか」

ドラマの監督を務めるのは、『ワイルド・スピード』や『スター・トレック BEYOND』といった大ヒット作を手掛けたジャスティン・リン氏(54)だと報じられている。映画に詳しいライターが語る。

「今年10月にアメリカで公開された監督作『Last Days』は、2018年にインド洋・北センチネル島で殺害された宣教師のジョン・アレン・チャウさんを題材にした作品で、実話をもとにしています。

複数の報道を参照して脚本を制作したとのことですが、水原受刑者のドラマにおいても同じような手法を取るとみられます。水原受刑者サイドや、大谷選手にも許可を取る手続きは踏まないのではないでしょうか」

青山綜合法律事務所の近藤正篤弁護士によると、実話をもとにしたドラマ化をめぐり、日米で考え方の違いがあるという。

(ジェイコブ・ダビック氏のInstagramより)

(ジェイコブ・ダビック氏のInstagramより)

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「米国では、日本と比べて、“表現の自由”が優越される傾向にあり、報道価値のある事件やイベントを描く場合、相対的にプライバシー権の保護が薄くなることがあります。

また、いわゆる公的人物の名誉権やプライバシー権の侵害も成立しにくいです。さらにパブリシティ権についても、保護の有無や内容は州ごとに異なります。

そのため、正しいかどうかは措いておいて、米国では、実在の公的人物をモデルとしたドラマ化などは、モデルとされる側の許諾なしで進められることも相応にあるようです。もちろん悪意ある名誉毀損的な表現などには法的に対抗可能ですが、法的観点における日米の大きな違いを十分に理解する必要があります」

法的なトラブルに発展する可能性はあるのか。
「主にモデルとされた側の名誉権やプライバシー権の侵害を理由として、コンテンツの放映・配信の差止めや損害賠償を求める紛争に発展する可能性があります。なお、ドラマ化などの場合、パブリシティ権(有名人の肖像などに生じる顧客吸引力を保護する権利)の侵害は成立しにくいです」

大谷は、自身が広告塔になったハワイの高級リゾート開発をめぐる訴訟も抱えている。一難の最中にまた一難、オフシーズンといえど、休まる日はないのかもしれない──。